2025/11/05

森井大輝と、いくっしょ! パラアスリートの視点で見た「モビショー」


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10月31日のトヨタイムズスポーツは、開催中のジャパンモビリティショー(JMS)2025を特集した。

冬季パラリンピックの現役メダリストで、トヨタの次世代ステアリングの開発にも携わる森井大輝選手が、さまざまなブースを見学。独自の視点でモビリティの新たな可能性を探った。約20年ぶりに歩く感覚を取り戻して、思わず感激する場面も!

パラアルペンスキー森井大輝と練り歩き


東京ビックサイトで10月30日から11月9日まで開催されているジャパンモビリティショー。トヨタイムズスポーツでは、パラアスリートならではの目線で会場を回った。

2年前の前回開催の放送に続き、一緒に会場を練り歩いたのは、パラアルペンスキーの森井選手。パラリンピックに6大会出場中で計7個のメダルを獲得している。

車いすで生活する森井選手が競技で用いるチェアスキーは、雪山を速く滑るためのモビリティ。足を使わずに手だけで運転可能なステアリング「ネオステア」の開発にも、森井選手が関わっている。

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10年先のモビリティを体験


森井選手と森田京之介キャスターが最初に訪れたのが、10年後の未来を体験できる「Tokyo Future Tour 2035」。もうすぐ実現するちょっと先の未来のモビリティや街並みなどを垣間見ることが可能なツアープログラムだ。

「空も飛べる自動車」は、徳島大学発のベンチャー企業TUNAGIが開発。日常では自動車として使用し、災害時には車輪などが変形して既存の道路から飛行することを目指している。モビリティの行動範囲を広げるために、大阪・関西万博で話題を集めたクルマや大企業の展示だけでなく、さまざまな分野や規模の事業者のチャレンジを見られるのが面白い。

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二輪や四輪のクルマ以外にも、ロボットミュージカルや、3Dプリンターで作った寿司など、さまざまな未来の形を2人は体験。AIと対話して未来のモビリティを作るコーナーでは、森井選手は雪山探検モビリティ「ギシア」のデザインを完成させていた。

村田製作所は、人に寄り添ってついてきてくれるモビリティや、引っ張られるような感覚を引き起こす「ふしぎな石ころechorb」などを出展。視覚障害者の誘導などへの活用も期待される。

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20年ぶりの“散歩”を満喫


森井選手を最も感動させたのが、HONDAによるパーソナルモビリティ体験。小さな椅子の形状をしたモビリティで、両手を自由に使える状態のまま、身体の体重移動だけで進むというものだ。

さっそく試乗してみると、座席が少し上昇して、立っているときの目線に近い高さに。身体を前に倒すと、モビリティも前に進み、「歩いているみたいです」と森井選手も思わず笑顔になっていた。

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歩きだしてから止まるのも自然な感じ。「本当に立ち上がった感じなんですよ。 僕は17 歳の時に歩けなくなってしまってから、かれこれ20年……」と言葉を失い、感無量といった表情の森井選手。噛み締めるように「これは嬉しいです」と言った。

森井選手は「歩く時って意識しないじゃないですか。同じ感じです。それこそ重心で前に行きたいと思えば(行ける)」と語り、久しぶりに“散歩”する感覚を味わっていた。

感動のパーソナルモビリティ体験は8:44から。

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手だけでハンドルやブレーキを操作


次は、森井選手を真剣な表情にさせた、車いす利用者のための技術。MAZDAが開発した、クルマを手だけで運転するためのデバイスで、トヨタの「ネオステア」とはある意味でライバルとなる。

アクセルやブレーキはハンドル周辺に集約されて、直感的に操作できるようになっている。左手のひじ掛けの手前にあるブレーキが、ハンドルを握ったまま細かな操作が可能なことに、森井選手は感心。「手首のスナップをきかせながらブレーキできるので、よく考えられている」とコメントしていた。

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森井選手が重視しているのは、両手をハンドルに置いて運転できること。安全につながるだけでなく、身体が安定することで長時間でも疲れにくくなる。「実際に乗ってみたいな」とライバルの技術に興味津々だった。

真剣な表情で他社の技術を体験する森井選手は15:01から。

車いす界のランクルが登場?


いよいよ4つのブランドが並ぶ通称“トヨタグループ館”を訪れた一行。トヨタのブースで注目したのは、1960年から手掛ける福祉車両のコーナーだ。

「walk me」は、タイヤの代わりに4本の足を使い、段差のある街の中などもスムーズに移動するモビリティ。「boost me」はスポーツに特化しており、両手が自由に使えることで、競技に参加するハードルを下げるのがねらいだ。

walk me(ウォークミー)

walk me(ウォークミー)

boost me(ブーストミー)

boost me(ブーストミー)

そして、担当者が“車いす界のランクル”と表現したのが「challenge me」。路面の悪いところや水辺でも走破できることを目指しており、森井選手の意見を採り入れて開発された。本人は「普段行けないところに行ったり、釣りをやってみたい」と夢を語っていた。

challenge me(チャレンジミー)

challenge me(チャレンジミー)

トヨタの新しい福祉車両meシリーズは23:16から。

自動運転の一人乗りLSも


レクサスのブースでは、空のモビリティeVTOLや、レクサス スポーツコンセプトなどを見学した。

6輪になったLS コンセプトを見て、森井選手は「あまりにも今までのイメージからぶっ飛びすぎて。でも良さそうですね」と語る。

森井選手が「こ、これは…」と驚いたのが、一人乗りのLS マイクロコンセプト。「ステアリングがないってことは、自動(運転)ってことですかね」と指摘していた。

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トリは緋色のセンチュリー


最後に回ったセンチュリーのブースでは、緋(ひ)色の車体に思わず息を飲んだ森井選手。「まずカッコいいです。近未来的なんですけど、その中にも歴史を感じるというか、すごいデザインだなと思って、何よりも色がものすごくキレイです」と感慨深げ。

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モビリティショー全体の感想については「未来に向かってパーソナルモビリティは、もしかしたらタイヤの形状ではなくなってしまうんじゃないかなって。僕が思っていた未来の1歩も2 歩もその先を考えてくださる人がいて。それを形にするのはすごい」と語った。

来年3月のミラノ・コルティナ大会に向けて大事な時期だが、「どうしてもモビリティショーに行きたい」とイタリア合宿の日程をずらして帰国した森井選手。未来を変える技術に刺激を受けて、金メダルを宣言していた。

次週のトヨタイムズスポーツは、金曜お昼の生配信はお休みして、11月6日に開幕する「ラリージャパン2025」の競技結果などをお届けする。4日連続で現地から生中継!

・【1日目】11月6日(木)17:00~ https://www.youtube.com/watch?v=WxhK7wxcsdg 

・【2日目】11月7日(金)18:00~ 

・【3日目】11月8日(土)19:00~ 

・【最終日】11月9日(日)14:30~

ラリージャパン2025のスペシャルサイトも、ぜひ、お見逃しなく!

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